第2話「蓮美祭」

はにはに本編から1年後の9月18日(日)

 

 今年も蓮美祭がやってきた。

 今年は去年の蓮美祭が好評だったためか、新入部員がいてとても楽だった。

 今年の夏も天体観測会をやり、去年と同様に飾り付けをする。

 保奈美は今年も料理部の出し物で、料理長をやっていた。

 茉理もカフェテリアでウサミミをつけながら接客をしている。

 

 俺は11時半から休憩に行った美琴と弘司が帰ってくるのを待っている。

美琴「ただいまー」

 休憩時間ぴったりの1時間で美琴が帰ってくる。

弘司「おまたせー」

 その後ろから弘司も入ってきた。

美琴「楽しかったね、広瀬君」

弘司「ああ、今年も例年以上によかったな」

美琴「今度は直樹たちが楽しんできてね」

直樹「あのなあ、美琴」

弘司「いいから、行った行った。茉理ちゃんが待ってるぞ」

直樹「ったく」

 やれやれといった感じで立ち上がる。

直樹「んじゃ、まあ、行ってくるわ」

 ・・・・。

 ほどなくしてカフェテリアのテラスに到着する。

直樹「茉理は、っと・・・」

 辺りを見回してみる。

 すると、すぐに2本のおさげとウサミミが見つかる。

茉理「あ、直樹」

 茉理も気が付いて近づいてくる。

茉理「この食器戻したら休憩だから、ちょっとだけ待っててね」

 そういって食器を戻しにカフェテリアの中に入る。

茉理「おまたせー」

直樹「おいおい、その格好で行くのかよ」

茉理「えー、だって着替えるのめんどくさいんだもん」

直樹「しょうがないか、時間も少ないんだし」

茉理「ねえねえ、どこから行く?」

直樹「そうだなあ。まずは腹ごしらえにほなみんとこ行くか」

茉理「うん」

 カフェテリアから料理部の出店に向かう。

直樹「ここが料理部のレストランだな」

 ドアに手をかけて中に入る。

「いらっしゃいませー、2名様ですか?」

直樹「ああ。それと、料理長呼んでくれるか?久住だっていえばわかるから」

「はい、かしこまりました」

 茉理と席に座る。

保奈美「お待たせしました。なおくん、茉理ちゃん」

直樹「おう、保奈美、わるいな」

保奈美「ううん。それで、注文はどうするの?」

直樹「保奈美の特製料理で」

保奈美「うん、わかった。腕によりをかけてつくるね」

茉理「楽しみにしてますね」

 保奈美が厨房へ戻っていく。

直樹「それで、今年はこんなに休んでていいのか?」

茉理「うん。去年あたし、新人賞とウェイトレスオブザイヤーをダブル受賞したじゃない?」

直樹「ああ、そのことはびっくりしたよ」

茉理「そのこともあってか、今年は新入委員が多くて休み時間も多くとれたんだ」

直樹「確かに、茉理の性格なら同性にも好かれそうだしな」

 そんな感じでしゃべっていると、保奈美が料理を運んでくる。

保奈美「お待たせしましたー」

直樹「お、待ってました」

茉理「わあ、すごい」

保奈美「では、ごゆっくり」

茉理「じゃ、いっただきまーす」

 保奈美の料理はどれもおいしかった。

 おなかが空いていたこともあって、すぐに食べ終わった。

直樹「ああ、食った食った」

茉理「おいしかったね」

直樹「それじゃ、いきますか」

 伝票を持ってレジに向かう。

 レジには保奈美が立っていた。

直樹「ごちそうさん、保奈美」

茉理「ご馳走様でした、保奈美さん」

保奈美「お粗末さまでした」

直樹「いくらだ?」

保奈美「1200円になります」

直樹「ツケ払いで」

 バシッ

 後ろからチョップを食らう。

茉理「アホなこと言ってないで、さっさと払いなさいよ」

直樹「へいへい」

 財布から1200円を取り出す。

保奈美「ありがとうございましたー」

直樹「じゃあな、保奈美」

保奈美「またね、なおくん、茉理ちゃん」

茉理「ご馳走様でした」

 俺たちはレストランを出た。

直樹「次はどこ行く?」

茉理「グラウンドほう行ってみようよ」

直樹「そうだな」

 ・・・・・。

 いろいろ廻っていると、あっという間に1時間が過ぎる。

 また俺たちはカフェテリアに戻ってきた。

直樹「じゃあ、またあとでな」

茉理「うん、ファイヤーストーム、楽しみにしてるからねー」

 茉理と別れて俺は天文部へ戻った。

直樹「ただいま」

結「おかえりなさい、久住君」

弘司「全員揃ったことだし、午後もがんばるか」

直樹「おう」

 天文部は今年も好評で、新入部員がいるとはいえ午後は去年と同様に忙しかった。

 やっとの思いで天文部の出し物が終わる。

 そして蓮美祭ラストのファイヤーストームが始まる。

直樹「よし、それじゃ行くか」

弘司「俺たちも天文部のごみを燃やしに行くよ」

美琴「うん、早く行かないとね」

 俺たちは天文部の飾りつけなどを持ってファイヤーストームに向かった。

 グラウンドに出たところで茉理と出会った。

茉理「あ、直樹ー」

直樹「おう、茉理。グッドタイミングだな」

弘司「まずはごみを燃やすぞ」

直樹「だな」

 燃え盛る炎の中に飾り付けを放り投げる。

美琴「それじゃ、私たちはお邪魔になるといけないので、これにて退散しまーす」

弘司「しっかりやれよ、直樹」

直樹「あのなあ・・・」

 弘司達と別れて茉理と並んで立つ。

「皆さんお疲れ様でした。それでは今年の蓮美祭、ラストナンバーです」

 スピーカーからオクラホマミキサーが流れる。

 周りの人が踊り始め、俺と茉理もその輪に加わる。

直樹「茉理」

茉理「うん」

 俺は茉理の手を取って、音楽に合わせてステップを踏んだ。

 繋いだ手と手。回る校舎、月、炎。

 そして茉理の楽しそうな笑顔。

茉理「去年も直樹とこうして踊りたかったんだけどね」

直樹「去年は忙しかったんだし、仕方ないだろ」

茉理「そうだけど・・・」

直樹「去年あれだけがんばったお陰で、今年はこうして踊れるんだし」

茉理「だよね」

直樹「それに、俺たちは別の形で思い出を作っただろ」

茉理「うん。あのときのことは一生忘れないよ」

直樹「俺もだ」

茉理「あのあとすぐに仁科先生が戻ってきたのにはびっくりしたけどね」

直樹「ははは、そうだったな」

 俺たちは去年踊れなかった分を取り戻すかのように踊った。

 きゅっ

 茉理が、俺の握った手を少し強める。

 俺も同じようにして握り返した。

 ・・・・・。

 ファイヤーストームを半周くらいしたところで曲が終わる。

「これで、本年度の蓮美祭全プログラムを終了します!」

周りから大きな歓声と拍手が沸き起こった。

 茉理「今年の蓮美祭も、一生忘れないと思う」

 直樹「俺もだな」

ファイヤーストームに照らされた茉理の横顔を見つめながら、今年の蓮美祭は終わった。

このあと、あんな事件が起こるとは知らずに。

 

第2話を書き終えて

いかがでしたでしょうか?去年は茉理が倒れてしまったので、今年は強引に成功させてみました(笑)。茉理が元気だったらこんな感じだったと思います。最後のほうははにはに本編の保奈美エンドを真似ていますけどね。パクリというよりは、変にオリジナリティーを出すより、このほうがはにはにらしくなると思ったからです。もっとも、私自身に表現力があれば良かったのですが。ちなみに、保奈美の特製料理につきましては、皆様のご想像にお任せします。2人分で1200円で利益が出るものということで(笑)。

さて、次の第3話からは保奈美エンドを、茉理に置き換えて書いてみようと思います。どんな感じになるのか、引き続き第3話をお楽しみください。

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